地震保険の比較と選び方|保険料は全社一律・火災保険セットで選ぶ理由

地震保険の「ランキング」や「どこがいい」を調べると、保険会社名がずらりと並びます。しかし地震保険は、補償内容も保険料も法律で全社一律に決められています。つまり、どの会社で入っても基本部分は同じです。

では何で選ぶのか。答えは「セットで加入する火災保険のほう」です。地震保険は単独では入れず、火災保険にセットでのみ加入できます。だから比較すべきは火災保険側になります。

この記事では、地震保険そのものの仕組み(保険金額・損害区分・割引・控除)を押さえたうえで、賃貸と分譲・戸建ての違い、必要性の判断軸までを中立に整理します。順位ではなく仕組みで選べるようになるのが狙いです。

この記事でわかること

  • 地震保険の補償・保険料は法律で全社一律。政府と損保会社の共同運営のため、会社で差がつかない
  • 「ランキング」「どこがいい」の実質的な答えはセットで入る火災保険で選ぶこと
  • 保険金額は火災保険の30〜50%(建物5,000万円・家財1,000万円が上限)で決める
  • 支払いは全損・大半損・小半損・一部損の4区分。割引は4種類で重複不可
  • 賃貸は家財のみが対象(建物は大家の保険)。必要性は住宅ローン・構造・地域で判断する

公的情報源: 財務省「地震保険制度の概要」(参照)/日本損害保険協会「地震保険」(参照

結論を先に書きます

地震保険の「おすすめ」は、保険会社のランキング1位では決まりません。地震保険の保険料と基本補償は、どの会社で入っても法律で同じだからです。

選び方の軸は2つです。①セットで加入する火災保険を比較すること、②自分の建物・家財に合った保険金額と割引・控除を正しく設定すること。地震保険そのものは横並びなので、差がつくのは火災保険側と設定の精度になります。順を追って整理します。

この記事の要点
  • 地震保険は政府と損保会社の共同運営。補償・保険料は全社一律で会社差がない
  • 比較対象はセットの火災保険(補償範囲・特約・割引・代理店/ネットの保険料)
  • 設定で差が出るのは保険金額・割引適用・控除の3点
  • 賃貸・分譲・戸建てで対象(建物/家財)と必要性が変わる

地震保険を検討する前提として、世帯全体の保障バランスを整理したい場合は保険の種類一覧|公的保障と民間保険の役割もあわせて確認すると、優先順位を付けやすくなります。

目次

地震保険とは|火災保険ではカバーできない損害を補う

地震保険は、地震・噴火・津波による損害を補償する保険です。まず押さえたいのは、火災保険だけではこれらが補償されないという点です。

火災保険では地震による損害は出ない

火災保険は火事や台風などをカバーしますが、地震が原因の火災・倒壊・津波は対象外です。地震で家が倒れても、地震の火事で焼けても、火災保険からは保険金が出ません。

この「火災保険ではカバーできない地震損害」を補うのが地震保険です(財務省「地震保険制度の概要」)。地震大国の日本では、ここが大きな空白になります。

地震保険は火災保険とセットでのみ加入できる

地震保険は単独では契約できません。火災保険にセットで付帯する形でのみ加入します。すでに火災保険に入っているなら、契約の途中からでも地震保険を追加できます。

項目火災保険地震保険
運営各損害保険会社政府と損保会社の共同運営
補償の中心火災・風災・水災など地震・噴火・津波による損害
単独加入できるできない(火災保険にセット)
保険料の差会社・プランで異なる全社一律(同条件なら同額)

地震保険は公的性格が強く、家計の再建を支える「最低限の備え」として設計されています。営利の上乗せ部分がないため、会社で差がつかない仕組みです。

なぜ「ランキング」では選べないのか|保険料は全社一律

地震保険の核心は、補償内容も保険料も法律で全社一律という点です。ここを知ると、ランキングの見方が変わります。

政府と損保会社の共同運営だから差がつかない

地震保険は「地震保険に関する法律」にもとづき、政府が再保険で支える公共性の高い制度です。所在地(都道府県)と建物の構造(耐火・非耐火)ごとに、国が保険料を決めています

そのため、A社で入ってもB社で入っても、同じ建物なら基本補償も保険料も同額です。地震保険の部分で「安い会社」「手厚い会社」という差は、原則として生まれません。

「どこがいい」の答えは火災保険で決まる

地震保険が横並びなら、実際に差がつくのはセットで入る火災保険のほうです。比較すべきは次の点になります。

  1. 火災保険の補償範囲(風災・水災・破損などを付けるか)
  2. 特約(地震上乗せ特約など、地震保険を補完する独自特約の有無)
  3. 火災保険側の各種割引・契約期間(長期一括の割安度)
  4. ネット型か代理店型かによる火災保険料の差

なお一部の会社には、地震保険の補償を上乗せする独自特約(全損時に保険金を上積みするタイプなど)があります。基本の地震保険は一律でも、この上乗せ特約の有無は会社で差が出る部分です。火災保険そのものの選び方は火災保険のおすすめと比較・選び方で詳しく整理しています。

ランキング記事の落とし穴

「地震保険ランキング1位」と書かれていても、その順位はセットの火災保険の評価であることがほとんどです。地震保険単体の優劣ではありません。

順位そのものを地震保険の良し悪しと取り違えないことが、無駄な比較を避けるコツです。見るべきは火災保険の中身と、次に説明する保険金額・割引・控除の設定です。

保険金額の決め方と損害区分

地震保険で実際に差が出るのは「いくらの保険金額を設定するか」です。ここは契約者が決められる部分なので、仕組みを押さえておきます。

保険金額は火災保険の30〜50%が上限

地震保険の保険金額は、セットの火災保険の30〜50%の範囲で設定します。上限は建物5,000万円・家財1,000万円です。

たとえば火災保険3,000万円の建物なら、地震保険は900万〜1,500万円の範囲で決めます。火災保険と同額にはできない点に注意が必要です。これは「全壊しても建て直し全額を出す」のではなく、当面の生活再建を支える設計のためです。

支払いは損害の程度で4区分

地震保険の保険金は、損害の程度に応じて4段階で支払われます。実際の修理費そのものを払う仕組みではなく、認定区分ごとの定額割合です。

損害区分支払割合(保険金額に対して)目安
全損100%建物の主要構造部の損害が時価の50%以上など
大半損60%同40%以上50%未満など
小半損30%同20%以上40%未満など
一部損5%同3%以上20%未満など

支払割合は損害認定の区分で決まるため、同じ被害でも認定で受取額が変わります。全損でも火災保険額の30〜50%が上限である点を踏まえ、地震保険だけで全額再建はできないと理解しておくと判断を誤りません(日本損害保険協会「地震保険」)。

預貯金とのバランスで考える

地震保険は「再建の頭金」を作る保険です。不足分は預貯金や被災者支援制度で補う前提になります。

そのため、潤沢な預貯金があるなら保険金額を抑える選択もあり、貯蓄が薄いなら上限近くまで備える判断もあります。地震保険だけで完結させないのが現実的な考え方です。

4つの割引と地震保険料控除

地震保険は一律でも、割引と控除で実質負担は下げられます。ここは見落とすと損をしやすい部分です。

建物の耐震性能による4つの割引

地震保険には建物の耐震性能に応じた割引が4種類あります。いずれか1つのみ適用で、重複はできません。割引率の大きいものを選びます。

割引名割引率主な対象
免震建築物割引50%品確法にもとづく免震建築物
耐震等級割引10〜50%耐震等級1=10%/等級2=30%/等級3=50%
耐震診断割引10%耐震診断・改修で現行耐震基準を満たす建物
建築年割引10%1981年6月1日以降に新築された建物

割引を受けるには、確認資料の提出が必要です。建築年割引なら建築年月が分かる書類、耐震等級割引なら住宅性能評価書などを用意します。新しい家や等級の高い家ほど割引が大きくなるため、該当しそうなら忘れずに申告したいところです(日本損害保険協会「地震保険」)。

地震保険料控除で所得税・住民税が軽くなる

地震保険料は、地震保険料控除の対象です。1年間に払った地震保険料に応じて所得から差し引かれ、所得税・住民税が軽減されます。

  • 所得税:年間の地震保険料が5万円以下なら全額、5万円超なら一律5万円が控除の上限
  • 住民税:年間保険料の2分の1(上限2万5,000円)が控除の対象

控除を受けるには、保険会社から届く控除証明書を年末調整または確定申告で提出します(国税庁「地震保険料控除」)。割引と控除を両方使えば、表示の保険料より実質負担はかなり下がります。

保険料の目安|都道府県・構造で変わる

地震保険料は全社一律ですが、所在地と構造で金額が変わります。リスクの高い地域・燃えやすい構造ほど高くなる仕組みです。

構造区分(イ構造・ロ構造)で分かれる

保険料は建物の構造で2区分に分かれます。

  • イ構造:鉄骨・コンクリート造などの耐火建築物(保険料は割安)
  • ロ構造:木造などの非耐火建築物(保険料は割高)

同じ地域でも、木造(ロ構造)は鉄筋コンクリート(イ構造)より保険料が高くなります。

都道府県でリスクが反映される

地震リスクの高い地域(太平洋沿岸など)は保険料が高く、リスクの低い地域は安く設定されています。たとえば建物500万円・家財150万円・木造のケースで、年間2万円台〜数万円台が一つの目安です。

条件保険料の傾向
イ構造(耐火)・低リスク地域比較的安い
ロ構造(木造)・高リスク地域高くなりやすい
割引適用あり上記から10〜50%軽減

正確な金額は所在地と保険金額で決まるため、火災保険の見積もり時に同時に算出してもらうのが確実です。保険料が一律である以上、見積もりはどの会社で取っても地震保険部分は同額になります。

賃貸・分譲・戸建てで変わる加入の考え方

地震保険は、住まいの形態によって対象(建物か家財か)と必要性が変わります。自分のケースに当てはめて確認します。

賃貸は「家財のみ」が対象

賃貸住宅では、建物の所有者は大家・不動産会社です。借りている人が建物に保険をかける必要はありません。

入居者が地震保険を検討する対象は、自分の家具・家電などの家財です。賃貸契約時の火災保険(家財保険)に、地震保険をセットで付けるかを選びます。家財が少ない単身世帯なら必要性は下がり、家財が多い世帯なら検討の価値があります。

分譲マンション・戸建ては建物+家財

分譲マンションや持ち家の戸建ては、建物も自分の資産です。建物と家財の両方について地震保険を検討します。

  • 分譲マンション:専有部分(建物)と家財が対象。共用部は管理組合の保険でカバーされるのが一般的
  • 戸建て:建物・家財ともに自分の備えが必要。木造は構造上、保険料がやや高くなりやすい

特に住宅ローン返済中の戸建ては、被災してもローンが残ります。住まいが失われてもローンだけ残るリスクを地震保険で和らげる意味は大きいといえます。

地震保険は必要か|判断の軸

地震保険が必要かどうかは、住まいの状況と家計で変わります。ローン・構造・地域・貯蓄の4点で判断すると整理しやすくなります。

地震保険の付帯率は年々上がっており、火災保険に地震保険を付ける世帯は全国で7割前後に達しています。多くの世帯が「念のため」備えている分野です。

地震保険の必要性が高いケース
  • 住宅ローン返済中で、被災すると住まいとローンが二重負担になる
  • 木造戸建てなど、地震で損害が出やすい構造に住んでいる
  • 被災リスクの高い地域(沿岸部・活断層近く)に住んでいる
  • 預貯金が薄く、自力での建て直し・買い替えが難しい

必要性が下がるケース
  • 建て替え費用をまかなえる潤沢な預貯金がある
  • 賃貸で家財が少なく、買い直しの負担が軽い
  • 耐震性の高い新しい建物で、損害リスクが相対的に低い

ただし「いらない」と判断する前に、地震保険は建て直し全額ではなく生活再建の頭金を作る保険だと押さえておくと、過小評価を避けられます。判断に迷うなら、火災保険とあわせて専門家に相談するのが近道です。FP無料相談のおすすめ・選び方保険相談おすすめランキング・比較で、相談窓口の選び方を整理しています。

よくある質問(FAQ)

地震保険の比較・選び方について、よく寄せられる質問を整理します。

Q1:地震保険のおすすめランキングはどう見ればいいですか?

地震保険そのものは補償も保険料も全社一律のため、ランキングの順位は地震保険単体の優劣ではありません。順位の中身は、たいていセットで入る火災保険の評価です。ランキングは「火災保険の比較材料」として見て、地震保険は保険金額・割引・控除の設定で判断するのが現実的です。

Q2:地震保険はどの会社で入っても同じですか?

基本の補償内容と保険料は、所在地と構造が同じならどの会社でも同額です。地震保険は政府と損保会社の共同運営で、国が保険料を決めているためです。ただし一部の会社には地震補償を上乗せする独自特約があり、その有無は会社で差が出ます。基本部分は横並び、上乗せ特約は会社差ありと整理してください。

Q3:賃貸でも地震保険は必要ですか?

賃貸では建物は大家の保険でカバーされるため、入居者が備えるのは家財だけです。家具・家電が多い世帯なら、買い直しの負担を考えて家財の地震保険を検討する価値があります。家財が少ない単身世帯では必要性は下がります。賃貸契約時の火災保険(家財保険)に地震保険をセットで付けるかで判断します。

Q4:地震保険の保険金額はいくらにすればいいですか?

セットの火災保険の30〜50%の範囲で設定します(建物5,000万円・家財1,000万円が上限)。地震保険は建て直し全額ではなく、生活再建の頭金を作る保険です。預貯金が薄いなら上限近く、貯蓄に余裕があるなら抑えめにと、自己資金とのバランスで決めると過不足が起きにくくなります。

Q5:地震保険の割引は併用できますか?

4つの割引(免震・耐震等級・耐震診断・建築年)はいずれか1つのみで、重複適用はできません。割引率の大きいものが適用されます。免震建築物割引と耐震等級3割引が最大の50%です。割引には住宅性能評価書などの確認資料が必要なので、該当しそうなら火災保険の契約時に申告してください。

Q6:地震保険料控除はどのくらい戻りますか?

1年間に払った地震保険料に応じて所得から控除されます。所得税は保険料5万円以下なら全額(上限5万円)、住民税は保険料の2分の1(上限2万5,000円)が控除の対象です。控除を受けるには保険会社の控除証明書を年末調整または確定申告で提出します。割引と控除を併用すれば、実質負担は表示額よりかなり下がります。

まとめ|地震保険は「会社」でなく「火災保険と設定」で選ぶ

地震保険は、ランキングの順位ではなく仕組みで選ぶ保険です。本記事の要点を整理します。

この記事のまとめ
  • 地震保険は補償も保険料も法律で全社一律。会社で差はつかない
  • 差がつくのはセットの火災保険と、保険金額・割引・控除の設定
  • 保険金額は火災保険の30〜50%。支払いは全損100%〜一部損5%の4区分
  • 割引は4種類で重複不可(最大50%)。控除で所得税・住民税も軽くなる
  • 賃貸は家財のみ。必要性はローン・構造・地域・貯蓄で判断する

地震保険は「ランキング上位だから安心」という商品ではなく、火災保険の選択と保険金額・割引・控除の設定で実質が決まる性格の保険です。所在地・構造・保険金額で金額は変わるため、最終的な判断は火災保険の見積もりとあわせて行い、必要に応じて保険会社・代理店・FPへ相談してください。

免責事項

※本記事は2026年時点の公開情報をもとにした一般的な整理であり、特定の保険商品の加入を勧誘・推奨するものではありません。地震保険の保険料・割引率・損害区分の認定基準・控除額・公的制度は、契約・年度・改定によって異なります。地震保険制度の詳細は財務省・日本損害保険協会・国税庁等の最新の公式情報をご確認のうえ、最終的な保険選びや見直しは保険会社・保険代理店・FPなど専門家にご相談ください。

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この記事を書いた人

保険代理店で7年間スタッフとして働いてきた和田です。私はFP3級を持っていますが、FPとして保険のコンサルティングをしていたわけではありません。代理店の内側で「どのように保険が売られているか」を7年間見てきた観察者です。

現場にいると気になったことがあります。手数料ランキング上位の商品が推奨されやすいこと、顧客の家計状況を丁寧に聞かずに提案が進むこと。「この保険で本当にいいのかな」と思う場面を何度も見てきました。

退職後、FP3級を取得して自分の家族の保険を全件見直しました。手順を知っていれば、ネットと各社の見積もりを使って自分でできます。そのとき年間保険料を約30万円削減できました。当サイトでは、その手順と「代理店側が教えてくれない判断軸」を整理しています。**最終的な保険の選択は、中立的なFPへの相談もあわせてご検討ください**。

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